末路

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X市職員採用試験Part.11

それは、年末の冷たい空気が少しずつ現実味を帯び始めた頃のことだ。最終合格の通知を受けて胸をなでおろしたものの「合格=採用」ではないのが公務員試験である。採用候補者名簿に載っただけでは、まだ入口に立ったに過ぎない。採用内定という確かな連絡が届...
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X市職員採用試験Part.10

【少し面談の時間をいただいてもよろしいでしょうか】私は部長にチャットでそう送った。しばらくすると「いいよ」声が返ってきた。部長は、社員がいつも打ち合わせをしているオープンスペースで話そうとしたが、私は「誰もいない場所で」と断った。事務室から...
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X市職員採用試験Part.9

12月。私は寒空の下、とある高層ビルの屋上に立っていた。ビュンビュンと音を立てて吹き付ける冷たい風を浴びながら、私は公務員試験に対する熱を、少しずつ冷ましていった。手にはX市の合格通知。もう、公務員試験の日程を調整する必要はない。もう、興味...
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X市職員採用試験Part.8

最終合格が決まってから、一度だけ他の最終合格者と話す機会があった。最終合格者が何名かのグループに分けられ、集められたのだ。だから全体で何人合格したのかは、まったくわからない。私のグループは既卒の人が多く、結婚して子どもがいる人もいた。その中...
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X市職員採用試験Part.7

X市の最終試験を終え、後は結果を待つだけになった。神奈川県秋季チャレンジ試験と並行して受けていた市であり、秋季チャレンジに受かればそちらに行こうと決めていた。しかし、師走に入り、分厚い封書で不合格が通知されてしまった。仕事のほうも、在職期間...
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X市職員採用試験Part.6

ついに最終面接となった。面接官は5人。まずは若手の女性職員からのアイスブレイクだ。「ここまでどうやって来ましたか」「電車で来ました。最寄り駅から○○線で✕✕駅まで行き、そこで△△線に乗り換え、□□駅で降りました」「結構遠いですよね。何分くら...
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X市職員採用試験Part.5

今回は四次試験の再現ではなく、四次試験に向けた準備について書きたい。これに受かれば、ついに公務員だ。当初、市役所は志望していなかった。しかし、贅沢は言っていられない。あれだけ憧れ続けた公務員になれるのだ。試験が終わってから言い訳できないよう...
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X市職員採用試験Part.4

三次試験はグループワークだった。受験者は6人1グループ。課題はこんな感じだ。試験時間は40分。まず課題文(ほぼ全国の自治体に共通する地域課題)を読み、グループで対策を話し合う。次にその内容を模造紙にまとめ、最後に面接官に向けて発表する。私の...
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X市職員採用試験Part.3

二次試験は集団面接だった。正直に言えば、集団面接は私にとって大得意分野だ。過去の公務員試験でも、集団面接で落ちたことは一度もない。受験者は5人で、それぞれアルファベットが付与され、私はD。面接官4人のうち、私の向かいは右から2番目に座る。面...
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X市職員採用試験Part.2

一次試験はSPIと作文。私の場合、特別な対策は不要だった。もちろん、苦手意識がある受験者はしっかり準備すべきだ。しかし、私はこれまで数多くの公務員試験を経験してきたため、SPIで落ちることはまずないだろうと判断した。自治体が筆記試験の負担を...