X市職員採用試験Part.13

「あの、最終合格したんですけど、採用漏れってありますか?」

私は、思っていたよりも強い口調でそう尋ねていた。

ここは某資格試験予備校。
公務員試験の無料相談に来ていた。

目の前の茶髪の女性講師は、少しも迷わず言い切った。

「市役所で、それはないですね」

「……ありがとうございます」

やはりそうだ、と思った。
市役所で採用漏れなんてあるはずがない。
3月まで、内定連絡のチャンスはまだある。

引っ越してすぐ、住民票を移したその足で、私はここに来た。
それだけ、誰かに「大丈夫だ」と言ってほしかったのだと思う。

けれど、現実は――。

ない。
ない。
今日も、ない。

郵便受けを毎日覗いた。
3月の下旬になっても、通知は届かなかった。

信じられない気持ちでいっぱいだった。

これまで、誰よりも苦労する環境で育ってきた。
20年以上、耐えてきた。

その報酬が、公務員試験の合格だと、どこかで信じていた。

気づけば、季節はすっかり春に向かっていた。

耳を澄ますと、心臓が激しく鼓動しているのがわかる。
その音に合わせるように、私は初めて、自分自身に「無職」という現実を突きつけられた気がした。


あの春、私はまだ「待つ」という行為の重さを知らなかった。

市役所
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管理人

公務員試験で採用漏れになり何もかも失った公務員試験バカ。
市役所に最終合格したので仕事を辞めたものの、結局4月採用の連絡は来ませんでした。
受験歴は学生時代に17自治体、社会人時代に10自治体。
公務員試験の真相を詳らかするため、ブログで発信しています。

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