最終合格が決まってから、一度だけ他の最終合格者と話す機会があった。
最終合格者が何名かのグループに分けられ、集められたのだ。だから全体で何人合格したのかは、まったくわからない。
私のグループは既卒の人が多く、結婚して子どもがいる人もいた。その中で、とある女性(以下、A)との何気ない会話が、妙に印象に残った。
私:「最終面接に市長いましたよね」
A:「え?いたんですか?」
私:「いちばん端に座っていた方ですよ」
A:「あ~、私、面接官の顔とか見ないので。そもそも市長の顔も知りませんし(呑気)」
私:(この時点で怒りを通り越し、落胆してしまった)
A:「市長の名前って何でしたっけ?」
私:「〇〇です……。ところでお住まいは市内なんですか?」
A:「いえ、××です」(隣の自治体)
やはり、家が近いから合格したのだろうか。面接でどのようなはったりをかましたのかはわからないが、こうした人物が面接官に評価されたのが、不思議でならない。
女性かつ家が近所だと、合格確率はぐっと上がるのだろう。
その日、私は採用漏れなど自分には無縁だと確信し、帰宅してから賃貸の解約手続きと退職の準備に取り掛かった。
――この判断が、後に悪夢の始まりとなることも知らずに。

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