三次試験はグループワークだった。
受験者は6人1グループ。課題はこんな感じだ。
試験時間は40分。
まず課題文(ほぼ全国の自治体に共通する地域課題)を読み、グループで対策を話し合う。
次にその内容を模造紙にまとめ、最後に面接官に向けて発表する。
私のグループは男3、女3。面接官も同じくらいの構成だったと思う。
試験が始まると、前半の話し合いは無難に進んだ。
ただし、出る意見といえば市販の公務員試験参考書の1ページ目に書かれているような、当たり障りのないものばかり。
浅い知識の披露に終始する者がほとんどだった。
気づけば模造紙にまとめる時間になった。
私たちの作った模造紙も、例に漏れず何の面白味もない。
そして誰かが発表して試験は終了。
面接官からすれば、誰を評価してよいのか皆目見当がつかない状態だろう。
まあ、多分、自分の好みの顔を受からせるのだろうが。
終了後、同じグループだった受験者たちと話しながら駅に向かう。
整然と開発された小綺麗な街路を目にしても、プレッシャーから解放された公務員受験者たちは、あまり気に留めない。
話題は自然と二次試験の集団面接に移った。
女「なんか途中で挙手制になりましたよね」
男「俺は全部最初に手挙げたけど」
なるほど。やはり合格している受験者の考え方は似ている。
挙手制になったら、とりあえず一番に手を挙げておけ、ということだ。
そのとき、学生の受験者が話しかけてきた。
「他にも試験受けたんですけど、もうここしか残ってないんですよね」
そうだろうな。この時期にまだ受験しているのだから、皆、後がない。
この自治体を第一志望にするのは、地元出身者くらいだろう。
電車の中では世間話をした。
現在社会人で、何度も公務員試験を受験していることを伝えると、好奇の視線が向けられる。
年齢が高いだけで社会的経験値は低いのを棚に上げ、私は少し鼻を高くして話す。
車内の騒音に負けないよう、声を大にして、ここぞとばかりに人生論を語った。
このグループで一体誰が合格しているのか考えを巡らせながら、ターミナルに到着する。
売れ残りの公務員受験者たちはそこで散り散りになり、私は一人、特快に乗って帰路についた。

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