ついに最終面接となった。
面接官は5人。
まずは若手の女性職員からのアイスブレイクだ。
「ここまでどうやって来ましたか」
「電車で来ました。最寄り駅から○○線で✕✕駅まで行き、そこで△△線に乗り換え、□□駅で降りました」
「結構遠いですよね。何分くらいかかりますか」
「はい、50分ほどかかりました。しかし、最終合格をいただけたら、市内に引っ越すつもりですので、通勤時間は短くなります」
「そうですか」
質問はこの後も続く。難しいものは特になかったが、管理職と思われる面接官とのやりとりは印象に残った。
「あなたが職員になったら、朝何時に来て、まず何をしますか」
「はい。朝は8時の30分前までに出勤し、PCを立ち上げてメールチェックを行い、その日の業務に備えて身の回りを整理します」
素直に、そして無難に答えた。自分でも間違いではないと思う。
すると面接官から、ありがたい“箴言”が飛ぶ。
「あのねえ、開庁は8時半でも、8時過ぎに来る人もいるから、自分の身の回りだけじゃなく、業務で使う機械はすべて電源を入れて、市民の目が届く範囲の机もベンチもすべて雑巾がけして掃除してなきゃダメだよ」
「・・・」
面接中に公務員の心得を聞くとは思わなかった。これは、経験値の差をまざまざと見せつけられる瞬間だ。
「やりたい仕事はどんなことですか」
「はい。この市は~という特徴があるので、こういう仕事をしたいです」
「調べただけでそんなことわかるの?」(やや高圧的に)
「市民まつりに参加して、肌で感じました」
一発で会心の回答となった。面接官は黙った。
最終面接らしい質問は続く。
最後の質問者は市長だった。
印象に残る質問は2つ。
「あなたはインドアですか、アウトドアですか」
もう一つは、「行政サービスとは何か」
私はか細い声で絞り出すように答えたが、市長は優しい口調でこう説明してくれた。
「行政の仕事はね、~なんだよ」
「はい」
基本的には、うなずくしかない。人柄を知る質問というより、受験者を精神的に追い込む質問が多い印象だった。
公務員の仕事に関する知識は面接官の方が圧倒的に豊富である。こちらから反論などしたら減点されるに違いない。
率直に感じたのは、さすが最終面接。現役公務員のエッセンスが凝縮されていた。
合格後の話は、次回に記録する。

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