神奈川県秋採用(秋季チャレンジ)Part.2

Part.2・・・第1次試験について

試験会場は、神奈川大学である。学生時代に受験したときは日本大学だったので、毎年受験会場が同じというわけではないようだ。

私は片倉町駅からバスで向かう予定を立てていた。しかし、お目当てのバスが時間になっても来ない。乗り場も複数あってどのバスに乗ればよいのかわからなくなってしまったのだ。
結局、調べに調べて20分ほど待って確実に神奈川大学前に止まるバスに乗れた。時間に余裕はあったので、遅刻にはならなそうだ。

朝からイライラしてしまった。

試験会場に着き、まずは受付をする。

そこは、そこそこの列の長さが出来上がっていた。

受験票は各自印刷して持参するのだが、注意点が2つある。

1つ目が、厚紙に印刷しなければならない点。

2つ目が、受験票と確認票を切り離さなければならない点だ。

私はしっかりと要項を読み込んでいた。

家にプリンターはないので、コンビニで印刷した受験票を厚紙に張り付け、持参した。ちなみに、ハガキサイズに切り取らなければならない点も地味に面倒だ。

私が受付の前でお手製の受験票を提示しようと準備していると、信じられない光景が目に飛び込んでくる。

目の前の受験者が、ペラペラのA4コピー用紙に印刷した受験票を提示しているのだ。厚紙でもないしハガキサイズでもない。とても就職試験を受けにくる心持ちとは思えない。
ある意味、公務員受験者らしい失態だ。

その受験者に対し、職員は、確認票を切り取るように指示していた。

周りを見ると、他にも厚紙に印刷していない受験者はチラホラいた。

結局、薄いコピー用紙でも受理されていた。試験時に受験票が回収されたのだが、薄いコピー用紙で持参した受験者はたくさんいた。

たしかにそんなことで受験不可にすることもないと思うが、注意されてしかるべきではないか。きちんと厚紙で準備してきた受験者は納得できない。実際私は、怒り心頭であった。

ただ、厚紙で管理するというのは自治体側の事務の都合なので、厚紙を用意する受験者の労力を考えて廃止したらどうか。

自分の席を確認してお手洗いへ向かう。わかってはいたが、長蛇の列だ。校舎の外にあるお手洗いに、これから試験を受けようという公務員予備軍が、待てば自分の番がやってくるという日本人らしい性格を全面に出し、各自スマホを弄るなり自分の境遇に抗えないことを悟った顔をして頭を垂らし、時間を潰している。

私も並んだ。周囲の空気に溶け込むように。

しかし、一向に列は進まず、私はトイレを諦め、自席に戻った。

後にも先にも、試験会場に着いてからトイレに行かなかったのはこれが初めてだ。

幸いにもホテルでちゃんと用を足したため、試験中にトイレに行きたくなることはなかった。

最初の試験は基礎教養試験だ。

感想としては、普通の教養試験より簡単な印象であり、特に数的処理が解きやすかったと思う。ただ、苦手な英語は最後に余った時間で適当に埋めた。まともに取り組んでもわからないのがオチだ。すべて解答し、ベストを尽くした。軽く見返していると、鐘が鳴った。
しかし私は発見してしまったのだ。自分の犯した失態を。その瞬間、マークシートの塗り忘れを発見してしまった。やってしまった。後半の途中1問、解答していない。

救いだったのは、1問飛ばしてその欄を詰めてマークしてしまったのではなく、英語を後でまとめてマークしたときに1問マーク忘れをしてしまっただけということ。

1問はデカい。まともに解いていない問題とはいえ、正答確率が0になるのはもったいない。ただでさえ秋季チャレンジは受験者が多いので、この一問で当落が決まるかもしれない。私は解答用紙回収の時間にこっそりマークしてやろうかと思った。しかし、それはできなかった。私は誰よりも公務員気質だからだ。形式を重んじ、不正は許さない。

次は自己PRシートだ。

これは前回受験した時と質問事項はほぼ変わっていないし、ネットの情報も強ち間違っていない。

志望動機と挫折経験と力を入れて取り組んできたこと。質問自体はオーソドックスなものだから、問題なく書けると思う。

合格者からのアドバイスだが、この手の試験の秘訣は2つある。

1つは、適切な量の解答をすること。与えられた解答欄をほぼ埋めることに注力する。急いで書いたので私は2箇所ほど漢字を間違えたが、合格している。

2つ目は、当該経験から何を学び、それを県政でどう活かすかを言語化しておくことだ。特に就労経験がある場合、仕事に通じるような学びを得ていると思う。そこまで文章にして初めて問いに応えたことになるのではないか。これはそのまま面接対策にもなる。

私は一心不乱に書き続けた。とにかく書かないことには評価してもらえない。今までの就活で培った自己分析を総動員し、なんとか書き終えた。

解答用紙回収中、ここでも事件が起きた。

斜め前の方向に座っている女の子が、解答の回収を拒否しているのだ。
試験官の女性が回収しようとしているが、女の子が解答用紙を手で押さえ、離さない。試験官の女性が「試験終了です」と言っても、女の子は動揺することなく、手に力を込めている。
困り果てたのか「〇〇さん!〇〇さん!」と試験官の女性が試験官のリーダー的存在の男性に助けを求めた。

しかし無慈悲にも女性の声に他の試験官は誰も気づかない。4、5人はいたと思うが、誰も気づかないとは、やはり公務員は特異な世界なのだと再認識した。受付のコピー事件もそうだが、民間企業ならば同僚を無視した試験官もアウトだろう。公務員の点数主義にも辟易する。

その女の子も一分ほどは試験官に反抗していたと思う。もちろんその間、周りの受験生も異変を察知し、好奇の視線を注いでいた。

そもそもその女の子は、試験中ずっと寝ていたのだ。私は「この娘はもう諦めたのか、不合格決定だな」と心の中で呟いた。同時に「こんな舐めた気持ちで受けている受験生に負けてたまるか」と試験中に奮起した。

だから彼女の答案はほぼ白紙だった。にも関わらず、回収の時点で反抗するとは、少しは合格したいという気持ちがあったのだろう。もしくは問いに答えられない自分の不甲斐なさに嫌気が差し、自暴自棄になったのかもしれない。

そんなことを考えているうちに、女の子は観念したのか解答用紙から手を離した。

そうして試験会場は日常へと戻ったのだ。

同日に論文試験も実施された。論題は「人生100年時代での生きがいの創出について」だったと記憶している。
自分の関心のあるテーマだったので、神が味方したと思った。

論文試験のコツは、論理的に書くことだ。論理的とは、最初から最後まで主張が一貫しており、根拠や理由がしっかり示されていることをいう。
論文試験用のテキストであれば、どれにも同じようなことが書いてあると思う。

試験が終わり、白楽駅まで歩いたのだが、駅には大量の公務員予備軍で溢れかえっていた。一般の人には、きっと悪徳セミナー帰りの集団だと思われていただろう。そのくらい、皆顔が暗い。その一方で、私はある意味達成感に包まれた顔をしていた。

その後も会社で働きながら、合格発表を待った。今までもずっと落ち続けてきたから、不合格には慣れている。ただ今回は、学生時代のリベンジという意味合いもある。ここで落ちたら本当の無能になれるのだと、クズらしく不合格を期待している自分もいた。

当日には、合格者の受験番号が記載されたページを開き、自分の番号を探した。上から見下ろしていくと、飛び飛びの番号のなかに自分の番号を発見。

本当は喜ぶべきところではあるが、本来は学生時代に受かっておきたかった試験であり、合格まで凄く遠回りしたので素直に喜べなかった。
マーク忘れをするし、漢字も間違えていたからだろうか。

とにかく、もう第2次試験まで時間がない。後日郵送された合格通知には、申込み時の予想通り、第1回個別面接と第2回個別面接の両日とも最短の日程が指定されていた。

私は多忙のなか、第2次試験対策に奔走することとなる。

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管理人

公務員試験で採用漏れになり何もかも失った公務員試験バカ。
市役所に最終合格したので仕事を辞めたものの、結局4月採用の連絡は来ませんでした。
受験歴は学生時代に17自治体、社会人時代に10自治体。
公務員試験の真相を詳らかするため、ブログで発信しています。

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