学生時代に受験してから、早2年。
社会人になった私は、再び神奈川県の秋季チャレンジを受験することになった。
学生時代と違うのは、働きながら受験すること。そして、学生時代と同じなのは、公務員試験に落ち続けていることだった。
結果を先に書いておこう。
第1次試験合格。第2次試験、すなわち最終試験は不合格。
平成時代の職員採用試験である。
いつも通り不合格なのだが、今回は少し違う。初めて一次試験に合格したのだ。つまり、以前よりは少し先まで進んで落ちたことになる。
当時、私は社会人2年目だった。
職場環境にも、会社の人間関係にも、特に不満はなかった。しかし、自分の成長のためにどうしても譲れない部分があり、転職を決意した。
転職先として選んだのは、学生時代と同じく公務員だった。
教養試験の勉強は学生時代から続けている。今さら後戻りするわけにもいかない。
合格さえすれば、それまでの勉強も無駄にはならないのではないか。
そんなことを考えていた。
過去の努力が無駄だったかどうかを、これから受ける試験の結果で決めようとしている。ずいぶん都合のよい話だが、当時はそれなりに真剣だった。
夏が終わった。
公務員試験に落ち続け、気づけばもう秋である。
私には神奈川県との縁もゆかりもない。それでも秋季チャレンジを受験するしかなかった。
10月に採用試験を実施している。
私と神奈川県を結びつけていたのは、ただそれだけだった。
この秋季チャレンジは、受験者が毎年1000人近くいるにもかかわらず、私が調べた限り、ネット上にも公務員試験予備校にも、まとまった体験記がほとんど見当たらなかった。
これだけ受験者がいるのに、どうして情報がないのだろう。
だったら、自分で書いてみようと思う。
これから受験する学生や既卒者には、ぜひ参考にしてほしい。また、公務員試験の関係者にも読んでいただき、採用試験をより有意義なものにするために活用してもらえれば幸いだ。
もっとも、私自身は最終不合格である。
合格する方法を教えることはできないが、受験して初めてわかったことなら、いくらでもある。
まず、申込みの話から始めよう。
9月に入り、秋季チャレンジの申込みが始まった。
申込期間内にインターネットで手続きをすれば、それで終わりだと思うかもしれない。
ところが、社会人の私には、申込みの段階で考えなければならないことがあった。
会社をいつ休むか、である。
この試験の第2次試験は、11月中旬と下旬の2日間に分けて実施される。
私が受験した年は、1日目が11月12日から14日、2日目が11月15日から29日だった。すべて平日である。
会社員にとって、これはなかなか困った話だ。
試験日があらかじめ決まっていれば、休暇の予定も立てやすい。しかし、実際の日程は第1次試験の合格通知で指定される。つまり、11月になるまでわからない。
11月の予定を、11月になるまで決められない。
学生時代にはあまり考えなかった問題だった。
ただし、私はここで一つのことに気づいた。
受験番号である。
私が受験した年は、受験番号の順番に沿って、第2次試験の日程が割り当てられているようだった。
だとすれば、申込開始直後に申し込んで早い受験番号を取得すれば、試験日も早い日程になるのではないか。
そう考えた私は、申込開始直後に手続きを済ませた。
結果は、予想通りだった。
第2次試験の2日間とも、それぞれの日程の初日に指定されたのである。
少なくとも私が受験した年については、この読みが当たった。
もちろん、現在も同じ方法で日程が決まるとは限らない。それでも、申込時期によって試験日程をある程度予測できたのは、働きながら受験する私にとって大きかった。
合格するかどうかはわからない。
しかし、会社を休む日の見当だけはついた。
これで一安心かと思いきや、もう一つ考えなければならないことがあった。
採用試験のお知らせに、こんな文言があったのだ。
「秋季チャレンジのみ、特別な活動(経験)、資格等を有している人は、第2次試験の第1回個別面接の得点として評価します。」
なるほど。
学生時代に何らかの分野で表彰されたことのある人にとっては、朗報ではないか。
公務員試験は得点を競う試験である。特別な活動実績によって少しでも加点されるのなら、申請しない手はない。
私は学生時代の活動について申請した。
ここで考えたのは、どのような経験が評価されるのか、ということだった。
例えば、スポーツで全国レベルの成績を残した人。あるいは、ネイティブ並みの語学力を持つ人。
そのくらい目立った実績でなければ、なかなか評価されないのではないか。
もちろん、学術的な表彰を受けた人もいるだろう。ただ、そういう人は公務員になっても能力を持て余すのではないか。そもそも受験しないのではないか。
そんなことまで考えた。
もっとも、これは私の勝手な推測である。採用する側が何をどの程度評価しているのか、わかるはずもない。
実際、受験の過程では、スポーツの賞状やTOEICのスコアを提示している人が多かった。
一方で、普通自動車運転免許を申請している人もいた。
私は少々疑問に思った。
なぜなら、第2次試験の1日目に記入する面接カードには、運転免許の有無を記入する欄があったからだ。
ちなみに、この面接カードについては、私が確認した募集要項には記載がなかった。第2次試験を実際に受験しなければわからない情報だった。
もっとも、面接カードに記入欄があるからといって、別途申請する意味がないとは限らない。
結局のところ、どのような実績が評価され、どれほどの得点になるのかはわからなかった。
少なくとも、私の面接では、申請した活動について詳しく質問されることもなかった。
申請内容が何点になったのか。それとも、そもそも評価されなかったのか。
私にはわからない。
ただ、学生時代に取り組んできた活動を申請しても、最終合格には届かなかった。
あの実績は、採用試験ではどれほどの価値があったのだろう。
私の申請はスポーツ経験ではなかった。
少しでも加点されることを期待していたが、結局、その努力は水泡に帰したように思えた。
試験に合格するために、勉強してきた。
それでも足りないから、今度は過去の活動実績まで持ち出してみた。
人間、点数になるかもしれないと聞けば、いろいろなものを差し出すものである。
さて、申込みも済んだ。
次にすることは、前泊するホテルの予約である。
私は試験のために何度も前泊してきたが、宿探しはそれほど嫌いではない。ホテルを探している間は、ちょっとした旅行気分を味わえるからだ。
もちろん、目的は観光ではない。
採用試験を受けに行くのである。
それでも、宿を探している間くらいは楽しい気分になれる。
こうして、10月21日の第1次試験を迎えることになった。
今回は、学生時代と違って対策を変えた。
自己PRシートには十分な時間をかけた。一方、基礎教養試験については、これ以上勉強しても点数は上がらないと判断し、対策しなかった。
そして、この判断が功を奏したのか、私は第1次試験に合格した。
詳しいことはPart.2で述べよう。
学生時代から落ち続けていた公務員試験で、初めて一次試験を通過したのだ。
少しは前進したのかもしれない。
だが、この試験は最終的に、私の公務員試験受験史上、最も後味の悪いものとなった。
今にして思えば、合格するための準備より、会社を休むための準備のほうが、ずっとうまくいっていた。


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